1st mission ~Walpurgis Night~

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 一瞬後、そのノーマルには、右肩から左肩に抜ける二発の弾痕が刻まれていた。その弾痕からオイルが漏れ出す。そして小規模の爆発。これで、残りは五機。  俺はすかさず左背部のPMミサイルを展開させ、次のスナイパー型ノーマルに照準を定めている。照準完了と同時に一斉射。肩の垂直ミサイルもそれに連動する。  一○発ものミサイルが、上空から刳るような入射角度で二機目のスナイパー型ノーマルを襲う。  スナイパーキャノンの発射反動を抑制する為に副脚を地面に突き立てているスナイパー型ノーマルは、瞬発的な機動力を出す事が出来ない。そのノーマルへ吸い込まれるように一○発のミサイルが全て着弾する。ミサイルを受けたノーマルは膨大な量の炸薬で一気に爆散した。跡形も無い。後四機。だが、未だ予断は許されない状況にあった。俺は、最後のスナイパー型ノーマルへレールキャノンの照準を合わせた。 「私達との戦いを……この戦いで得た経験を……今後君の生への糧としてくれ。それだけで、十分手向けになる」  最後のスナイパーから通信が入る。その物言いは、何処か嬉しそうでもあった。 「それから最期に一つ。OB(オーバードブースト)の制御だが……もう少しAIの制御に頼っても良いと、私は思う」  ああそうか。この人がフェンリルを狙撃したのか。俺は無感動に思った。そして、下唇を噛み締めながら言う。 「……ありがとう」  返事は無かった。既にレールキャノンの引き金は引かれていた。俺は躊躇わなかった。
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