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スナイパー型ノーマルのコア部にぽつんと穴が開いていた。そこからどす黒いオイルが漏れ出す。そしてそのまま機能を停止した。
残り三機。これでスナイパーは全機撃破完了した。実質、これで勝敗が決したと言って過言では無い。だが、戦いはまだ終わっていなかった。それに、彼等も諦めてはいない。
俺はフェンリルを一気に高空へと上昇させた。
残り三機のノーマルは編隊を組み直しこちらに向かっていた。俺にはミサイラーがこちらに標準を合わせたのが解る。数瞬後、二機のミサイラーから垂直ミサイルが発射される……いや、されるはずだった。
二機のミサイラーは既に沈黙している。フェンリルのスナイパーライフルからは硝煙が立ち上り、レールキャノンの砲身は静電気が帯電していた。
最後に残った通常型ノーマルから通信が入る。
「君の……勝ちだな。ありがとう。では、さらばだッ!」
そのノーマルは、レーザーブレードを構え、高空にいるフェンリル目掛け飛翔する。だが、その刃は決して届く事は無かった。俺はスナイパーライフルで最後のノーマルのコアを狙った。寸分の違いも躊躇いも無く、撃ち出された弾丸はその動力部を貫いている。
ノーマルは音も無く落下していく。俺はその最期を見届けた。
「……作戦終了だ。ハティ」
今まで黙っていたパラベラムが、作戦の終了を告げた。
「……人を殺して、ありがとうと言われたのは……今回が始めてだったよ」
俺は呟くように言った。
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