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支配者はつ……彼は一体何を伝えたかっただろうか。俺は先程の戦いで疲弊した頭を必死で回転させる。
夜の支配者は闇では無い……これはアネルの言葉だ。夜空が支配者する……だが支配者は闇じゃない。支配者はつ……つ?
「……ッ!?まさかッ!?」
俺は最悪の事実にたどり着いてしまった。つまり、夜の支配者とは……『月』だ。
現在月は、ある程度移住は可能になっている。それは火星開発、則ち火星テラフォーミングの先遣隊を駐留させておく為でもある。そして独自の自治体制と、ある程度の発言力も与えられていた。“ある程度”とはいえ、その力は日に日に強まる一方で、建前上の立場は企業連の下なのだが、今となっては実質的な発言力はそれより遥かに高い。さらに独自にリンクスも雇い入れ、それらにランク付けも実施している。月のリンクスだ。現在は二○名。則ちネクスト二○機分の戦力を保有している事になる。
その月政府が……地球に謀叛を企てているというのか……?
<どうしたハティ?>
俺の声を聞いたパラベラムが、何事かと問い掛けて来た。
<何か驚くような事でもあったか?>
「パラベラム……やっちまったかもしれん……お前の言った通り、下手な詮索等しなければ良かった……」
<だから何がだ?>
「ああ……ヴァルプルギスの夜は……月政府の先兵だ……おそらく……確実に」
<はぁ?何を言ってるんだお前は>
「これを……アネルから送られて来たメールだ」
そう言って俺は、そのメールをそのままパラベラムに送った。
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