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<どれどれ……ふむ……支配者は……ふむふむ……え……ちょッ……なッ!?>
パラベラムはその内容を見て、そして理解した。
<……チッ!この一件、俺達だけでは荷が重過ぎる……カラード、いや企業連の指示を仰ごう>
「……だよな。報告、頼んで良いか?」
月政府……一個人が対抗するには大き過ぎる相手だ。太刀打ちどころか、こちらは何も出来ない。
<当たり前だ。そういう事務はオペレータの仕事だ>
「そうか……ありがとう……」
それだけ言って俺は、後は何も言わず交信を終えた。いや、言えなかったと言うべきか。
俺は一足早く合流地点に到着し、ジェネレータのコジマ粒子の供給を止めて、輸送機を待った。その間にフェンリルを被っていたPA(プライマルアーマー)は次第に減衰し、そして消滅していった。
ふと気が付くと、いつの間にか辺りは闇で支配されていた。俺は夜空を見上げる。星々が瞬いている。しかし、辺りは異様に暗い。月が無いからだ。
今宵は新月。月に支配されぬ唯一の夜。
→The Chapter 1 end←
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