157人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は渚の誕生日だから、と云う理由で渚の好きな甘いチョコレートケーキを作ってみた。それはもう今まで作ってきた洋菓子の中では一番の出来で、早くこれを渡して渚の喜ぶ顔が見たいと思って急いできたのに、
「寝てるし」
すやすやと寝息を立てて寝ている渚を見て何だか苛立ってきた。
怒りに身を任せて渚の鼻を摘んでみる。
「んぅ…、」
うんうん、苦しんでる苦しんでる。整えられた寝顔が、少し険しくなった。
「…ぅ、シン…ジくん?」
「や、渚」
未だにボーっとしている渚。そんな渚を抱き起こし、隣に座らせる。
「シンジくん…眠たい…」
「あと少し起きててよ」
手作りチョコレートケーキに、ロウソクをさし、次にロウソクに火を灯す。
「何の日なの?」
渚の質問に僕は答えず黙ってみる。すると渚はムスッとして布団に潜り込んだ。
「ほら拗ねんなよ」
布団の中から渚を引っ張り出し、肩に手を回す。渚は少し顔を赤くしながら、僕の肩に頭を乗せた。
あ、もう時間だ。
「おめでと、渚」
軽くキスをし、抱き締める。未だに渚は呆然としていて、何が起きているのか判っていないのか、慌てている。
「今日は渚の誕生日だよ」
「え…?」
渚の頭を撫で、ロウソクの火を消すように促す。戸惑いながらも立ち上がり、机の上に置いてあるケーキのロウソクの火に息を吹きかけて消し、またベッドに座る。
「あの…シンジくん…」
「なに?」
「ありがと…」
そう云って渚は僕の体を引っ張り、二人揃ってベッドに倒れ込む。
「眠たいから、…続きは朝にしてくれる?王子さま…」
今日は可愛い僕の恋人の誕生日。
「仰せの通りに、お姫様」
朝一番に目覚めのキスをあげたいと思った、9月13日。
*
gdgdだけど、カヲル、誕生日おめでとうvV
最初のコメントを投稿しよう!