あめ

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雨が降るといつも思い出す。僕がまだ向こうにいた時のことを   「…リス」   誰かが   「タブ…ス」   僕を   「タブリス」   呼んでいたのに気が付き、眼を開けると不機嫌な顔をしたラミエルが覗き込んでいた せっかく気持ち良く寝ていたのに、一体何なのと云う眼で訴えたらラミエルは溜め息を吐きながら喋り出した   「ゼルエルが緊急会議だとさ」   「へぇ…何、あいつらが動き出したとか?」   「じゃねェの?ま、俺は詳しいことは知らされてねェから、判んねェけどさ」   「…まだサンダルフォンは眠ってるんだろう?此方の準…」   質素な服から会議用の正装に着替えながら会話していたら上から噛み付くようなキスがきた   「んぅ…、…っ」   「文句云わずに用意しな?ちんたらしてると続けるぜ?」   「…もう脱がし終わってるクセに…」   せっかく整えた正装もラミエルによって脱がされしまい台無しだ   「遅刻して怒られても僕は知らないからね」   そう云って今度は僕からラミエルに噛み付いてみた   外は雨が降っていた  
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