第1章 新たな生活

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「今日はとりあえず何も無い状態で過ごさないといけないな…」 笠原さんに部屋を案内してもらって部屋の前で彼女と別れた。部屋に入ると当たり前だが何も無い。あるのは窓とカーテンくらいだ。窓からは中庭が見える。 「中庭まであるのか。こっちはただの平地って感じだけど、表の庭は凄かったな…」 笠原さんに部屋を案内してもらっている時に庭を見たのだが、小さな池や立派な置き石、何本かの木に花壇や小さな畑と普通のアパートじゃ考えられないような庭だった。変わった大家さんに続いてそんな庭だ。僕もここは普通のアパートじゃないような気がしてきた。 「あ、そうだ。お隣さんくらいには挨拶しないとな」 そう思って僕は部屋を出た。正面に僕の部屋を見て右側が笠原さんの部屋だ。左側は…と。 「椎名美嬉(シイナ ミキ)…って人か。まぁ、名前から察するに女の人みたいだな」 部屋の両隣が女性かと思うとちょっと嬉しくなったりした。部屋の中からは物音が聞こえる。どんな人なんだろうと思いながら僕はドアを軽くノックした。周りを見渡しても呼び鈴が無かったためノックするしかなかった。ノックとほぼ同時くらいに部屋の中から明るい可愛い声が聞こえた。 「え!? 結ちゃんもう来たの!? ちょ、ちょっと待ってね。私今真っ裸だからさ、もうちょっとで着替え終わるから待ってて!」 何かとんでもない単語が聞こえてきたような気がしたが…。部屋の中からは慌ただしい物音が聞こえてきた。 「あ、いや、僕は…」 そう言いかけた時に僕の目の前の扉がガチャっと開いた。
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