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「また来たわ、 やめて、こっちを見ないで」 霊能者は何かを遮るように両手を前に出した。 「どうしたんですか?何か見えるんですか?」 それに対し霊能者は両手に体を隠すようにしながら言った。 「視線を感じるんだ、それも想像を絶する程悪意の強い その視線が、近づいたり遠のいたり まてよ、この状況と、あの音 そうか。 こいつの正体は」 その途端霊能者の体は高く浮き上がった。 俺は思わず後ずさりした。 霊能者は印を結ぼうとした。 しかし、その両手を何者かが操った。 霊能者は両手を開かれ、ちょうど体が漢字の十のように、なった。 そして、その瞬間グライダーが滑空するような姿勢のまま地面に叩きつけられた。 骨の折れる鈍い音がして鮮血がとんだ。 俺は霊能者の前に飛んできた。 「しっかりしてください」 霊能者は虫の息の中から何かを言おうとしていた。 「オ ン ナ 」 「何も、言わないで、今救急車を」 彼女は起き上がって私の肩に倒れ込むようになりながら肩を掴んだ 「オ ン ナ ニ キ ヲ ツ ケ」 「女に気をつけ? 誰の事ですか 正体は、その女なんですか?」 霊能者は、微かに首を振ったような感じで倒れこんだ。 俺は電話を掛けようとケータイを出した。 とにかく救急車だ。 まだ助かるかも、まだまだ、いろいろ聞きたい。 それに俺についてのかかわりなら、家族に申し訳ない。 音に驚いて人々が集まって来た。 俺はケータイで119番つながるかなと考えながらプッシュを押していた。 すると突然ケータイを弾かれた。 驚いてケータイを拾うとBが立っていた。 Bは恐ろしい顔をしていた。 「こっちにくるんだ早く」 Bは、私の手を、引っ張った。 いつものBから想像出来ない、もの凄い力だった。 「ちょっと待ってくれ 彼女を救急車に」 「あの人は、もう助からん あの人の死を無駄にするな」 Bは俺を無理矢理車の中に押し込んで車を発進させた。 「一気に、突っ走るぞ 」 「突っ走るって? どこへ」 「高野山に決まってるじゃないか 高野山真言宗○○派系厳岳寺住職日本屈指の封魔師芦田崇鴛阿闍梨の所だ」 「封魔師? 退魔師じゃないのか?」 「退魔師は怨霊や悪霊を退治する。 封魔師は退治出来ない荒神を封印したり、呪いを封じ込めるのが仕事だ
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