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いのか? それじゃあ、もう打つ手は、ないじゃないか? ところが、その時住職の口から真言が発せられた。 「オンベイシャノマカホンドマ」 すると無数に灯されてるロウソクから光の線がはっしられ、亡者をふきとばした。 住職は、ゆらゆらとかげろうの様にゆれながら元の座に降りてきた。 だが、突然突風が本堂の中に吹き荒れたかとおもうとロウソクの灯りを吹き消してしまった。 そして、その後無数の亡者が住職に襲いかかった。(真っ暗なんで影と、蠢く音しか聞こえなかったが) さすがに今度は、だめだと思った。 俺は亡者どもに、引きちぎられて肉片になる住職を想像して、戦慄した。 しかし、突然亡者の蠢く音が止まった。 そして、その後再び真言が聞こえて来た。 「ノウマク サラバタタ ギャテイビャク サラバ ボッケイビャク」 消えていたロウソクの灯明が、一斉に、つき、その光が強くなった。 まるで満天の冬ぞらのように本堂内が光に溢れた時、ボーと言う火の燃える音が堂内に響き渡る。 驚いて見ると巨大な不動明王像の背中の炎が燃え出していた。 それから動物の泣き声のように「キーン」と言う音がして、炎の中から三びきの火の竜が飛びだし一直線に亡者の塊に突進した。 一瞬にして亡者達は消しとんだ。 姿を表した住職の上を三びきの竜が旋回した。 目を瞑ってた住職は、その目をかっと見開いたと思うと指を伸ばして一点を指した。 三匹の竜は飛びながら一匹に合体し、その一点まで行くと大きくトグロを巻き何かを締め上げた。 「ぎゃ~」 人のような悲鳴がして、黒い塊が、現れたが、みるみる縮んで行った。 それを確かめると住職は指を天に向けた。 すると巨大な火竜は、散り散りになり、無数の灯明に、すいこまれて行った。 ロウソクの灯明が正常に戻り、辺りの不気味な雰囲気が消えさった。 俺は感動して答えが出なかった。 隣をみると、いつの間にか目を開けていたBも感動しまくっていた。 Bはうわ言のように言った。 「さすがカクバク(空海の師匠の生まれ変わりと言われ最高レベルの法力をもっていた実在の僧侶)の再来と言われてるだけある」 「竜ってのは神獣だろ あんなの本当に使役出来るんだな」 「神獣だが、竜神と言う名の神でもある いろんな取材をしてきたが見るのも、初めてだ。」
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