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「だって、ここは、あのおっさんの寺だろう」 「確かに、そうだが、俺達が火の中を逃げ回ってると言うビジネスチャンスを、あのおっさんが大人しく指くわえて見てると思うか?」 「確かに 水竜の頭なんかに乗っかって、いくら吹っ掛けてやろうと電卓叩いてるのが目に浮かんでくる。」 俺の網膜に、崇鴛住職が、あのでかい体に似合わない小さな電卓を叩いてる姿がうかんできた。 電卓を叩き終えて( ̄ー ̄)と笑った住職の見せた金額欄は数字ではなく『¥Ω』だった。 俺は思わず目をこすった。 「どうした?」 「いや、少し目眩が」 「いずれにしても、あれだけの数のロウソクを消すのは無理だろう」 「だいたい、あの住職一度につける力が、ありながら、なんで消していかねえんだ(親が後始末教えてねえのか?)」 「そりゃ灯明を消すってのは、術を使うのは、さし触りあるんじゃないの やっぱり闇を呼ぶわけだから」 「そんなもんかな」 Bは無数とも見える灯明を見ながら言った 「いずれにしろ これだけ吹きけすのは、無理だから、宿?にもどるか」 まあ、仕方ないと賛成して堂を出ようとすると堂の入口に通じる渡り廊下を、腰に手を当てて走る、いわゆる軍隊走りで走って来る僧侶の一団が、あった。 僧侶達は、いづれも年若くいわゆる修行僧だった。 修行僧達は堂に入ると整列した。 リーダーとおぼしきでかい小坊主が点呼をした。 「番号」 「1 2 3…・20」と20人の小坊主達が番号を連呼した。 「これより、御灯明の吹き消し作業に入る 熱心な吹き消しこそ上級者ひいては解脱への道である。 皆精魂を傾けて御灯明を御消しするよう では、かかれ」 20人の小坊主が四散して、一斉に灯明を吹き消し始めた。 Bが言った 「この寺に入るには肺活量しらべられるんだっけな」 「あんな事繰り返すと、あんな凄い法力が手にはいるのか?」 「俺が知るか」 坊に帰ると電話が、なっていた。 出てみると住職だった 「おばんでおます いい旅の思い出出来ましたかいな」 住職は例によって腹黒さを隠した商人の態度に変わっていた。 「おかげさまで、滅多に見られないショーをタダで見せていただきましたし、なにしろタダですから、タダで タダで(観覧料別に請求しようたって、そうわ、いくかい)」
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