ビデオ

32/63

59人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
グランドフィナーレぐらい」 「ぐ、グランドフィナーレ」 「いや、前は、値段が今ほどじゃないから、せいぜいフレンチカンカン」 「ふっフレンチカンカン もう、お前とは口きかねえ 育った環境が違いすぎる」 「おんなじような育ちのはずたが」 「しかし、俺は、そんな贅沢な遊びは、した事ない」 「根に持つんだな」 「ああ根に持つよ 悪いか悪いか悪いか?」 「そこまで、俺を嫌うのか?」 「あー嫌いだ 今日ので余計嫌いになった」 「殺したいほど嫌いか」 「もちろん、えっ、お前なにいいだすんだ急に」 「もとの話に戻るぞ カブトやクワガタが戦うのは縄張り意識からだそうだ」 「そうなのか? それで、ゴキブリは戦わなかったんだ 縄張り意識がないから」 「お前、まさか?」 「わっ悪いか、完全な都会っ子の俺だってな、虫の一匹や二匹戦わしてみたいんだ」 「まあ、いいや、でどうなった」 「ゴキブリの奴には、縄張り意識が、ないらしい」 「そりゃ自由主義だからな奴等」 「いくらけしかけても、ボール紙の土俵の上をシャカシャカ動き回るだけで、あっ見失ったと思ったら、隣の部屋から妹の悲鳴が聞こえて来た」 「パニック映画だな」 「妹が、お袋に告げ口して、怒ったお袋が乗り込んで来て」 「没収されたか?」 「いや、部屋に入ってくるなり、ひっくり返って気絶した」 「また、なんで?」 「ガラスケース2つに、ゴキブリ30匹、ナメクジ20匹ガサガサヌメヌメ」 「そりゃ、気絶するわな、 苦労して来たんだな ところで、話元へ戻していいか?」 「いや、まだだ、まだお前は田舎を持たない都会っ子の悲哀を理解してない もうひとつ話をする 俺はガキの頃オオクワガタを買った。 お年玉を結構使って」 「いくらだった?」 「聞いてくれるな、思い出したくもない とにかく俺は強力なクワガタを手に入れたオレは満足だった しかし、 俺は気がついた。 こんな高い物を戦わすなんて、ありえない事を 戦えない最強に、何の意味があるのか?」 「ミスコンに出ないナイスバディと一緒だな」 「俺は自分のバカさかげんに落ち込んだ やがてオオクワガタを見るのも嫌になり、管理がずさんになった、ある朝入って来たスズメバチと、あい討ちで死んでいた お~お~お~ お前に、この都会っ子の悲哀は、わかるまい
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加