ビデオ

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E美は、イタズラっぽく言うとグラスを覗いて楽しんでいた。 「これも、飲んじゃう」 E美はジュースを、飲み干した。 「うーんマーベラス、」 E美はてで口を拭った。 「監督は、この後ここに入るものなの」 何の事はない。 E美は我々との恋愛は、監督と恋愛するための予行練習と言ってるのだ。 転けにするにも程がある。 しかし情けない事に俺が感じたのは、監督が入って三つ巴に、ならなくてよかったと言う安堵の気持だった。 考えれば、考える程自分が情けないが、惚れた弱みと言うのは、しょうがない。 こう言う、小悪魔的なところまで魅力にかんじてしまってるのだからたちが悪い。 E美が突然声を上げた。 「あー、やっぱりダメ汗ばんじゃってて気持わるい。 シャワー浴びる」 E美は、バスルームに向かおうとした。 その時ケータイが、鳴った。 「はい、お世話になります。 そうですか。 それでは、取りに伺いますので預かっといて下さい、お世話かけます」 E美は電話を切った。 「だれ?」 「マンションの管理人さん、送った宅急便が戻って来たんだって」 「ふーん」 「ねえ、相手が受け取らない宅急便って、どのくらいで帰ってくるものなの?」 「一週間ぐらいかな、会社によるけど」 E美は指を折って何かを数えた 「もう、そんなになるんだ」 楽しいひとときを終えた私が家に帰ると頭の痛い問題に、また再会する事に、なった。 デッキに居座った例のビデオである。 今はDVDの時代とは言え、やはりビデオ部分が動かないと不便である。 俺は思い切って電気屋を、やってる友人Gに出してくれるように、頼む事にした。 素人が、ごちゃごちゃやって壊しても、わりがあわないからだ。 「あれ、偶然だな、Bの奴も同じ事頼んできたぞ、テープが中でからまってるんだろうが、それにしても、そこまで、なっちゃうのは、珍しいよな、いずれにしても、俺も今いそがしいから、手が開いたら、こっちから連絡するから」 俺はケータイの受話器を置いた。 偶然、そう偶然に過ぎない。 Cが死んだのも恩師が、死んだのも、今ビデオが同じ状況なのも、すべて偶然なのだと思い込もうとした。 でなければ、とても、理解できない事だからだ。 そんな事を考えていたら、いきなりビデオにスイッチが入り中のソフトを押し出した。
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