宿命

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この異性は危険と線を引く人間がいる。 しかし、それは幸せなんだろうか? いや案外恋愛に溺れると言うのはやっぱり酒やバクチや薬物に溺れるような愚かな行為なのかもしれない。 しかし俺は恋に溺れている。 E美に溺れているのだ。 E美の気まぐれに付き合わされた俺達は、いつの間にか、帰り道がわからなく、なってしまった。 まあ、わからないと言ったってディズニーに戻る道は誰もが知ってるだろうから、そんなに心配はしてないのだが しかし、突然思いもってよらない事が、おこった。 最初は俺達は、なんの事か、さっぱりわからなかった。 やたらにE美がモジモジ始めて立ちどまってしまったのだ。 そして帰りたいと、いいだした。 俺達にはE美のかんがえてる事がわからなかった。 ただわかったのは、E美が、かなりいらだってる事だった。 女性は生理で、苛立つと言うが、E美は、それでいらだってるのでは、ないだろうかと思ったりもした。 E美は、最初帰り道が、わからなくなった我々を自分の事を棚に上げて非難した。 しかし、やがて黙り出してしまい、帰り道をみつけられない俺達をうらめしそうににらんでいた。 テーマパークを除くと、ここは本当に田舎だった。 半農が多いため、ある時間になるまで人々か畑に行って留守なのである。 子供は学校に行ってる時間だし、老人も、かなりの年まで畑仕事をする人が多い。 まるで、ひっそりしたゴーストタウンである。 各家を虱潰しに廻れば人がいるのかも知れないが、こう言う田舎では人家の奥に人家があったりする。 奥まで寄ってると、どんどん時間が経ってしまうのだ。 仕方ないので俺とBは、道沿いの家を丹念に周り、声をかけた。 しかし見事な程反応がなかった。 各家庭は洗濯物が庭に干してあったり、子供の乗り物が放り出してあったり、作物が干してあったり飼い犬が繋いであったり生活感丸出しなんだが、それでも誰も留守を守っていなかった。 いくらなんでも、これは、おかしい。 おそらく村の寄り合いでもあったんじゃないだろうか? しばらくすると牧歌的なモンペや作業着を着た集団が肩に桑をかついで、だべりながら帰ってくるんじゃないだろうか? 俺は、そう思った。 しかし、そんなものを暢気に待ってられないほどE美は、折半詰まった状況だった。 E美は途中から俺達の後について来て何かを探し始めた。
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