宿命

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特に古い農家の建物を見ると何かを期待したように庭に飛びこんでいきガッカリして帰って来ていた。 何件目か、もう半分ぐらい諦めてた時、E美はおかしな行動に出た。 というのは農家のうちの一軒が留守にもかかわらず、縁側のサッシを少し開けたままだったのだ。 E美は、それを見ると、少し考えていたが、突然中へ入ろうとした。 俺達は、もちろん、慌てて、それを止めた。 留守宅に入るなど、決して許される物じゃない しかし、その異常な行動を見た時、かんのいいBは気がつき言った。 「我慢してるのか?」 E美は、ちょっとびっくりした顔になったが、それでも顔を真っ赤にしながら頷いた。 その途端、E美のパニックを俺達も共有する事になった。 三人は狂ったように、人家をざがし声をかけ外のトイレを探した。 女優にとって、絶対あっては、ならない事を、させないために。 もし、そんな事になったら、E美は破滅だ。 人気女優なら、まだしも、これから登って行こうと言う時にイメージダウンもいいとこだし、第一周りの信用を一切失ってしまう。 なんで、早く言ってくれなかったんだ。 自分の今の立場と言うのが、わかってるのか、こいつはとにかく、そんな事言ってる時じゃない タレント生命の危機じゃないか? ブレイクと言うのは本人より先に、まわりが気がつくものだ。 特にメディアが、先に気がつきパパラッチごとき連中は青田買いを狙ってくる。 だから、シャッターチャンスは絶対与えては行けない。 兜首を取られれば、即座に写真紙のトップに見出しが踊ってしまう。 そんな事より、とにかく見つけなければ外のトイレか貸してくれる人を しかし、全然なかった。 尋ね歩いているうちにパークから、どんどん離れてしまったようだ。 E美の顔が泣きそうな顔になった時、たまたま俺達は別れ道にたっていた。 BはE美に道を選ばした。 E美が怪訝な顔をしながら片方に歩き始めるとBは、もう一方をあるきだした。 俺はE美に、ついて行こうとした。 すると奴は、びっくりして俺の襟首をつかんで自分の歩いている方に引っ張った。 俺はしばらく何がなんだかわからなくてBに文句をいいそうになったが、E美が俺の方をうらめしそうに見たのを見て、やっと気がついた。
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