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奴がなおもギリギリと締め上げてくるので、俺は、俺の胸に押しつけて来た奴の顔を剥がしパンチを頬に、ぶちこんだ。
バキッっと音がして、そのあと、小さく何かが割れる音がした。
同時に奴の頭突きが俺の下アゴを襲った。
奴が立てたような音が俺の口の中でした。
二人は同時に折れた歯と口にたまった血をふいた。
その後奴は、もっと強く俺を締め上げてきた。
俺は苦し紛れに奴の顔を掴んだ。
奴も俺の顔を掴み返した。
奴と俺はお互い変がおの極致に、なっていた。
奴が言った
「もうお互い顔責めは、やめねえか?」
「ふん、女みたいな事を」
「歯医者を喜ばすだけだ」
「確かに、そうだな」
俺たちは、ぱっと離れた。離れた後お互いどう攻めてやろうかと、かんがえながらグルグルと回った。
その時声がした。
「ケンカだ、ケンカしてるぞ」
その声と呼応するように、あっちこっちから人が集まってきた。
集会を終えて戻って来た、ここら辺の住民だ。
「やべ
場所移すぞ」
「おう」
奴は走り出した。
俺は、其を追った。
奴に従うのは腹立たしいが、そうしなければ、バラバラになってしまう。
俺は全力で奴を追った。周辺は、そろそろ人々が戻って来て、あっちこっちでのらぎでの立ち話がおかなわれていた。
奴は小さな川を見つけて、それに沿って川の流れて来る方に走り出した。
こうすれば、おそらく山の方に行けるからだ。
俺達は山に深く入りこんだ。ここまでくれば、そう簡単には人目にふれまい、俺達は祭の続きを始めた。給水塔が屋根の上に乗った小さな上屋(物を一時的に保存する屋根と柱だけの建物)の前でたいじした。
奴が最初に、突っ掛けてきた。俺達は激しくぶつかりあい拳を放ちあった。
お互いの肩胸に相手のパンチがヒットすると思わずからだを丸めたくなったが、それでも、すぐ反撃に移った。
やがて俺達は足がもつれて転がった。お互いマウントを取り合いゴロゴロしたが腕力は互角で、どちらも相手を抑え込むに至らなかった。
このままだとお互いクタクタになり、青春ドラマにありがちな「やるじゃねえか」「お前もなハハハ」と言う結末になりそうな予感がした。
奴も、それを恐れたのか上になった時に素早く俺から離れた。
奴は立ち上がり指で、こちらを挑発した。
ノーブロックの殴り合いで決着をつけるつもりらしい。
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