破滅のプロローグ

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タレントを道具としか考えてない証拠だ」 「でも貴方、そうしないとマスコミが病院に押し掛けるそうよ」 「だから、私は英美がタレントになるのに反対だったんだ ごほごほ」 母親は父親の体を支えた。 「貴方無理なさらないで とにかくお医者様と話して来ます」 「あとでいいだろう、どうなるかわからんのだぞ」 「でも、病院のご都合もありますでしょう お医者さまに説明していただかなければならないのだから マネージャーさんと事務所の方もこちらへ向かってくださってるけど渋滞で」 その時突然通用口の方から二人の背広の男が入ってくる。 「荒木(俺)さん、坂東さんは、どちらですか」 俺は手を上げた。 「荒木です、それで彼が坂東です」 坂東は無視していた。 一人が警察手帳を見せた。 「ちょっと事情を聞きたいんで署まで、ご同行いただけますか?」 「なっ何故ですか」 「君ら争ってたんだろ、それで巻き添えを食ったんだよね 過失傷害の可能性があります」 もう一人が坂東を連れだそうと腕を引っ張った。 「さあ、貴方にも聞きたい事があります」 坂東は、その手を振り払って怒鳴った。 「俺を英美から離そうってのか」 刑事たちは、少し退いたようだった 坂東の異常さに気がついたのだ。 しかし容赦は、なかった。 「君、大人しくしないと不利になるよ」 俺は坂東が、哀れになった。 こんな時英美の傍を離れたくなかったが、どうせ連れて行かれるなら仕方ない。 「待っていただけないでしょうか? 必ず出頭します 大事な友人の手術なんです いさせて下さい」 「そう言われても、君達が、ここにいても役に立たないでしょう」 わかってるけど、腹のたついい方である。 「任意なの、それとも強制なんですか」 そう言いながら英美の父親が立ち上がった。 「貴方は」 刑事達はさもうるさそうだった。 英美の父親は名刺を出した 「これは失礼」 その途端刑事達は敬礼した。 「確かに、娘のケガは、この二人の行動に起因してます、しかし娘は坂東くんですか?」 父親は俺の方を向いたので俺はうなづいた。 「その彼の被害をみずからが庇ったものです、それは彼らからは予測不可能だから、この事から考えれば、彼らに結果回避義務があったとは思えない」 「いや、我々は、あくまで参考人として」 「任意なら、彼らの都合
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