破滅のプロローグ

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が優先されるべきでしょう 後で出頭させればすむことだ 彼らは娘の大事な恋、いや友人ですから娘に付き添わして下さい お願いします」 父親は頭を下げた 「しかし検事さん、一応形だけでも事情をきかないと我々の立場が」 「私が責任を持って出頭させます こう言う事は言いたくないが千葉県警の刑事部長は彼が法務省に出向してきた時から知ってますが、彼に説明しましょうか?」 父親はケータイを出した 刑事達は慌てた。 「わかりました検事さんが、そこまでおっしゃるなら、何も我々だってなあ」 「ああ」 刑事達は方々のていで帰って行った 「有難うございます」 父親は返事をせず、外へタバコを吸いに行った まあ事情をきけばさもあらん 俺は母親にも挨拶した 「有難うございます検事さんとは英美いわお嬢さんも言わないので」 「まあ、良かったですね夫は訴務検事ですので」 あまり好意的ないい方ではなかった。 これも当たり前 それにしても訴務検事って凄いよな (訴務検事は国が訴訟する時代理人となる検事だ。つまり国の裁判上の責任者だ) そんなエリートの子供だから、あんなに自由奔放な肉食女になっちゃったのか?よくあるケースだが 恋人が大変なのに俺はさめていた。 どうしようもないと言う気持があるせいか? 坂東の狼狽ぷりに比べると俺は根っからの冷血なんだろうか? それとも…・ 俺は、それについては頭を振って否定した。 坂東が狼狽してるのは、不運が二つも重なったからだ。 坂東の立場なら俺だって その時俺の頭に嫌な疑問が浮かん来た。 英美は俺の時でも身代わりになってくれるのか? いや、俺の方こそ、英美のために、身代わりになれるのか? とっさに…・ しかし坂東はなれるだろう、今の態度を見ていると、そんな気がする。 悔しいが俺と英美の絆より英美と坂東の絆の方が、あきらかに強い。 俺が嫌に覚めてるのも、心の奥で其を理解してるからでは、ないだろうか? 俺は二人の間のお邪魔虫に過ぎないのか? とんだピエロなのかもしれない しかし英美の体に入り命を支える紛れもなく俺の血だ。 神の悪戯か 俺達は、これから、どこへいくんだ
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