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くると宿直や救急センターの医師や看護だけがのこり、あとの人たちは、てんでに帰っていく、面会時間外が病院にあるのは、そう言った病院の事情も考えられる。
もっとも帰宅した医師も、何かあれば、すぐ呼び出されるし、医師に自由時間があるのは、一種のフレックスタイムらしいと言う事を聞いた事がある。
杉下右京と組んでたワイルド派刑事みたいな風貌のあの院長も、スーパーカーでさっさとかえってしまった。
院長が帰っちゃうのはふざけてるが、腕利きの手術医だから、いつ呼び出されるかわからないだろうし、おかげで英美も助かったので俺が文句を言う筋合いはない。
俺はまばらになった病院敷地内でどうやって中に入ろうか考えた。
考えてみたら、入っても英美の入院してる部屋がわからん
ナースステーションで聞くわけにもいかないし、こりゃ無理かいなと俺は思った。
病院内でウロウロしてツマミ出される事が英美との最後の思い出じゃシャレにもならないからだ。
この病院、けして大きな病院ではないが、それでも入院数は半端なく、とても簡単に英美の個室を探せるとは思えない。
中でウロウロしてたら怪しまれる。
俺は思った、こうなったら事情を説明して英美の親に協力を求めるか
父親はガンコそうだが、母親は話がわかりそうだ。
そういえば、あの母親は英美と同じ雰囲気がする(英美の奔放さを当たり前のように受け入れてるだけでもただ者ではない)今は超エリートで癇癪持ちの亭主をしっかりサポートしてるようだが昔は結構ブイブイ言わせてたんじゃないだろうか?
あの母親なら、こちらの気持を理解してくれるかもしれない
もっとも今は普通の奥さんより亭主を大事にしてるみたいだから、あの父親の鼻息しだいと言う感じもする。
それでも、尋ねてみるか
あ
電話番号がわからない
検事と言うだけで、どこに勤てるかもわからない。
わかっても名前もわからないし、名前がわかっても検事に簡単に連絡が取れるだろうか?
おおげさになってしまえば反感を買われる。
考えてみれば、英美の事は全く知らないのだ。
これで恋人だったと言えるんだろうか?
もっとも英美も、こっちの事をほとんど知らないだろう。
これじゃあ肉体と刺激だけでつながっていたと言われても仕方ない。
今風と言えば今風だが
とにかくこれでは、どうしようもない、それでも俺は、あきらめ切れなかった。
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