英美

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「一億」 「ひっ」 「と言いたいが、あとちょっとのところで10万円だったな」 「そ、そうですね(地図かよ)」 「さあ、早く」 守衛は手を出して請求した。 「あの今回は頭金だけってわけには」 「は?」 「いや、あのサイフを車の中に置いて来まして ちょっと取ってきます」 俺は逃げるように病院から出た。 「10万円~」 俺はサイフの札を数えた。 それ以上ある しかし 考えてみれば俺は会いたい一心で別れの気の利いたプレゼントも持って来なかった。 そんな事情なのに、こんな見ず知らずのおっさんに10万ださなきゃならないとは この前ソウエンとか抜かす地球外人類外生命体にケツのケバまでぬかれたと言うのに しかしふと俺は視線を感じた 病室の窓から英美が心配そうに、こっちを見ていた。 ちゃんと別れをつげなければ 俺は決意して札を握り締めるとずかずかと時間外通路に戻った。 俺は10万を守衛の前に叩きつけた。 「もってけ泥棒」 「なんだ、その態度は」 事情を知らないんだから怒るのは当たり前だ 「すっすいません」 「まあ君も濡れてに泡で10万って所返さなきゃならないんで気持はわかるが それでだ、約束の ホイ一万円持ってけ強盗」 守衛は俺の前に一マン円を投げた。 「なんだ、その態度は」 「お前こそ年輩に対して、さっきからでかい態度で」 ケンカしてる暇はない 「つい、すいません トホホ あの行っていいでしょうか?」 「どこでも行け 君ちょっとおかしいぞ 明日見てもらえよ」 守衛は頭を指さした。 そして突然声を上げた 「あー――」 「(ヤバい)」 「ノルドシュワルツェネッガーは、やっぱり絶倫だった あの肉体に、あの大人しい女性関係は、おかしいと睨んでたんだよ ライバルのスターロ―ンは若い頃は片っ端から女性問題起こしてたからな、シュワルツェネッガーもステロイドうちまくってる筈だし副作用で激情おさえられなくなってるはずだと思ってたんだが、やっぱりああ言う事になってたんだな バイアグラなんて騒いでるけど激情を起こすにはステロイド乱用の方がいいと思うが臨床検査技師として君の意見はどうだね」 「なんで臨床検査技師がそんな」 「下半身の臨床って意味じゃないもんな まあいいわ後で自分で調べる」 「警備員さんが?」 「昔の武勇伝話したろ」
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