胎動 ~Waking to Approach~

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       * 真っ暗な世界。星一つない月明かりだけの草原。 その世界の中心に一人少年が立っていた。 中肉中背。体型も身長も平均的。髪も普通の茶色い髪で長さも普通。さらに顔のパーツまで平凡と来ている。まあ、彼はそれを狙っているのだが。 彼の名はクラウド・ヴァイツ。人の姿を取ってはいるが、れっきとしたリオンらの住む世界の神である。 人の感情の内の“笑み”を司る愉快神だ。尚、リオンらの世界のサンタクロースでもある。 「──あと少し……!」 足に踏ん張りを効かし、右腕を前方へ差し出し、右手でまるで虚空を握るように何もない空間を掴んだ。
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