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……音がする。
……そう遠くない、ごくごく近く。
……耳に訴えてくるもの、それが目にも届く。
「………」
目の先に、動くものがいた。
それは、自分と同じもの。
「…あんた、そこで……何、してんだ?」
すっかり朽ち果て、枯れ落ちた木の麓。
一人の、人間が…細くしなった枝に、紐を結んでいる。
『……もう、おしまいなんだ…僕にはもう、何も残されちゃいない……なんの救いもないんだ……』
手を伸ばす。
結んだ紐に首を乗せる、その手を強く払い除ける。
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