6人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「……どうして?なんだって、死ななきゃならねぇんだよ?」
目の前の男は、更に負の思念を撒き散らす。
『…街の中で、また……売り物の食料が、無くなったっていうんだ。……僕は、何も悪いことなんかしていない…なのに、僕が盗ったと誰もが言うんだ!
……皮肉なものだよ。あの街は、強欲な商人によって仕切られているんだが…その圧政に打ち克とうと、皆で闘っていただけなのに!
…僕一人だけが、刃向かったわけじゃないのに……他の奴ら、報復を恐れて…僕一人に、罪を押し付けようとしてるんだ!
……そんな中で、どうやって生きて行けっていうのさ?もう、死ぬしかないんだよ…誰も助けちゃくれない、何にも救いなんか求められない………だから…っ!』
その、弱々しい手が伸ばされる。
深い闇の中、遠い空の先へと向かう為に。
最初のコメントを投稿しよう!