12人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、駅から少し離れたアパートに葛城が住んでるのを考慮し、駅で待ち合わせした。
だが、どうにも……変だ。
「先生……変」
「うん。自分でもわかってる」
今の葛城は顔周辺はいつも通りで、服だけがファッション雑誌から切り抜いた感じだった。
「姉がいてね。『あんた若いんだから、こういうの着なさい』ってくれるんだ」
葛城のお姉様はどうやらファッション関係のお仕事らしく、葛城に年相応の格好をしろということで、つてを使って服をくれるようだ。
「まあ、その天然パーマに合ってるイイ感じな服ですけど……」
ふと思い立って、葛城の前髪をバッと上げてみた。
「わ! な、なに?」
「!!!」
驚いた。
いや、驚かない方がおかしい。
そこにいたのは仔犬を彷彿とさせる垂れ目の可愛い童顔の男子だった。
「……先生って、いくつ?」
「え、25だけど」
いや、見えん。
意外にもいつもの格好は見た目騙しだったようだ。
「そうだ!」
ちょうどバッグにいれていたピン留めで葛城の前髪を留めてみる。
「ぉお」
「な、なに?」
手鏡で葛城本人に今の自分の状況を見せると、葛城も目を見開いた。
「ぉお!」
今なら服と十分合ってて、なかなか……
「でも額がスースーする」
「我慢我慢。さ、行きますよ」
上機嫌になったあたしは葛城の腕を掴み、買い物へ。
最初のコメントを投稿しよう!