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そしてまた後悔。
「なんで忘れるかな、あたし……」
今日が期限の物理の課題を家に忘れるどころか、あったことさえ記憶から綺麗さっぱり消えていた。
しかも、休み時間にやるべく家に取りに行こうにも授業が始まってから気づいたのではもう遅い。
「忘れたのは新田だけか」
少しざわついた物理室に響く葛城の声。
新田とはあたしのこと。
そう、我がクラスの物理選択者の中で忘れたのはあたしだけだ。
「特別に課題出すから、放課後この物理室に来なさい」
「……はい」
それから何事もなく授業が始められる。
ふと右隣から声をかけられた。
「新田、とうとうボケたか?」
その言葉に無言で右ストレートを食らわす。
「~~~ッ!!」
顔面にあたしの拳を受けて悶えているのは中学からの同級生、園山友一郎。
お調子者のムードメーカーで、クラスメイト達には数日で溶け込んでいた。
あたしはというと、似たような感じの子達とグループになって行動している。
「園山ってば失礼ね、弥恵はちょっと抜けてるのよ」
弥恵ってのもあたしのこと。
フォローになってるかなってないのかわからないが、そう言いながら園山の頭にチョップを入れているのは一緒のグループにいる高見七菜子だ。
「高見さん、それフォローになってないって」
園山はノートで頭をガードしながら苦笑した。
その後、葛城に注意されたあたしと園山と七菜子は、3人仲良く教科書の問題をやらされた。
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