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「葛城先生は片付け苦手ですか?」
早速お茶を頂き、直球で聞いてみると、葛城はばつが悪そうに頬を掻きながら答え出した。
「というか、家事全般苦手なんだ。アパートに独り暮らしだからそっちも散らかってる」
どんな所に住んでるんだ……
というか、家事全般ってことはご飯もまともなもの食べてないんじゃ……
そんなことを考えていると、いつもと調子の違う葛城からも声をかけてきた。
「それにしても新田さんってすっごい片付け上手だね」
「綺麗好きなだけですよ。綺麗じゃないと落ち着かないし」
さん付けされ、何やら羨望の眼差しが向けられているようだ。
前髪のせいでよく見えないが。
「あ、そうだ」
思い出したように葛城はプリントが重なった所から、ホチキスで留まった数枚のプリントを出してきた。
「はい、課題」
はい、課題って……
手渡されたのはまぎれもなく、放課後やらされるはずだった課題のようだ。
年末大掃除並みのことをやっていたが、課題は帳消しにはならない、と。
「もう時間も遅いから家でやってきていいよ。それと準備室が散らかってたことは内緒にしてね」
……それならこっちにも考えがある。
「じゃあ、明日の放課後持ってきますから、掃除の続きしましょうね」
「えっ!?」
「これはまだまだ片付いた内には入りませんよ。明日は覚悟して下さいね、先生?」
あわあわと焦っている葛城を残し、あたしは笑顔で準備室を後にした。
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