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「先輩、大変です!」
部屋のドアを激しく開けて自分の安眠を邪魔した後輩を、樋川 大介刑事はソファーに寝転んだままの状態で一目で不機嫌だとわかる目で睨みつけた。
「……てめえ、俺は徹夜明けで二日ぶりの睡眠だから邪魔したら撃ち殺すっていったよな」
「ひいっ!すみません---って、そんな場合じゃないんすよ一大事なんすよ!」
彼の少々うるさい後輩は大きな身振りを交えながらことの重要さをつたえようとしている。
「なに、うんこでも漏らした?」
「そうなんすよ、実はケツがしとどに濡れて……
ってんなわけあるかあ!
ふざけてる場合じゃないっすよ、今回はマジで大事っすから」
ただならぬその様子に樋川刑事は渋々と立ち上がった。
「……わかってるよ、んなこと。
最近俺に回ってくる仕事なんて全部同じじゃねえか。もう飽きてきた」
「そうっすよねー。
先輩はこの事件の専属ってみんな暗黙に了解してますよね」
「ICPOにでも任せりゃいいんだ、こんなもん一個人でどうにかなるもんじゃねえぞ。
……まあ人海戦術も通用しねえのは百も承知だけどな」
自分の席の椅子にかけておいたコートに袖を通し、最低限の荷物をもつ。
うるさい彼の後輩兼助手はもう準備できているようだ。
「で、現場はどこなんだ?」
「石附市の民家、そこで長男の男子高校生が意識不明で発見されたそうです」
石附市……すぐ近所じゃねえか。
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