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「あら?まだ誰かいるの?」
ゆっくりした口調の愛野先生が鍵を持って入ってきた。
「はい、まだいますよ」
先ほどのことなんてなかったかのように有明が答える。
「あらあら先に帰っててよかったのに。
もう誰もいないと思ってたから自分の用事を先に済ませてきちゃったわ。ごめんなさいね」
「いえ・・・」
瑞穂は有明のようにうまく対応できずぎこちないのが自分でもわかる。
「有明先生、辞書はありましたの?」
「ええ、貸した生徒が間違ってここへ持ってきたようです」
「あらあら、どこのそそっかしい生徒さんかしらね」
ふふふ、と上品そうに二人は笑う中一人だけうまく笑えない。
正直変な緊張で手は汗がべっとりとしている。
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