一章 記憶喪失

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「どこか行く宛はあるの?」 「あります。」 僕がそう答えて部屋を出ようとするとまた沙希さんに引き留められた。 「嘘ね、記憶喪失の貴方が行く宛何て無いでしょ?良かったらさ、うちに住まない?居候としてさ、部屋は余ってるからなんとかなるし。」 「でも、そこまで迷惑をかけるわけには。」 僕がそう言って振り返ると、沙希さんが鬼の形相だったので、数歩後ろに下がった。 「いいから、うちに居候しなさい、だいたい、今私たちが貴方を行かせて、どこかで死なれでもしたらそれこそ迷惑よ、ねぇ、お父さん?」
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