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「ありがとうございました。」
今は夜の七時。あと一時間ほどで店は閉まる。
ここは小さな本屋。店長は六十過ぎの老人、そして店員は俺を含め三人のアルバイト。
本当に小さく、こじんまりとした本屋だ。
中にある本は文庫本や表紙の厚い本に新書サイズの本。
ライトノベルや漫画はなく、雑誌の種類も若者向きとは言えない。
純粋に文学が好きな人間が来るような店だ。
その店で働く俺は高校一年。今年の春に近くの高校に進学したばかりだ。
名前は橘 春都(たちばな はると)。父さんと母さんが「春に産まれたから」と、なんとも単純な理由でつけられた。
「……ふぅ。腹へったぁ……。」
休憩したのは二時間前。その際に食べたのは手作りの弁当……と、言ってもおにぎりだけど……。
「育ち盛りにはおにぎり二個だけじゃだめだな。」
そんなことをぶつぶつ言いながら帰ったらどんなご飯が待っているかを創造していた。
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