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5分ほど車を走らせると、大きな屋敷にたどり着きました。
窓からは、灯りが漏れていました。
森の中で見た光は、この屋敷の灯りだったのです。
森を出る方法が聞けるかもしれないと思ったエドガーは、車から降りて、屋敷の扉をノックしました。
すぐに、屋敷の中からひとりの人間が出てきました。
「ようこそベックスフォード家へ。どういったご用件でしょうか」
素朴で美しい娘でした。
エドガーは軽く自己紹介をすると、ここに来ることになった経緯を彼女に伝えました。
「まあ! それは大変でしたね。
森を抜ける道は存じておりますが、何せ今は夜……暗くて大変危険です。明日、明るくなってから行かれるのがよろしいかと……」
エドガーは、それなら今夜は車で寝て、明日になったらまた伺いますと言って、踵を返そうとしました。
そんな彼を、娘が呼び止めました。
「せっかくいらっしゃったのですから、今夜はこちらに泊まっていってください」
屋敷の中でエドガーは、最高のもてなしを受けました。
おいしい食事、広い部屋に温かいお風呂、そしてフカフカのベッド
村で質素に生きてきたエドガーは、楽園にでも来たような気分になりました。
その旨を娘に伝えると、彼女は
「エドガー様にご満足いただけて、私もメイド冥利に尽きます」
と、嬉しそうに言いました。
そのときの笑顔に、エドガーは思わず見とれてしまいました。
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