story.1

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キーンコーン… 「起立、礼、着席」 なんだかんだで4限目が終了し、私達はいつも通り屋上へ。ご飯はいつも屋上で食べてるの。 ガチャッ 「あー柚子、悠馬おはよー…」 「「千乃(チノ)!」」 彼は藤田 千乃(フジタ チノ)。千歩の双子の兄なの。成績はずば抜けていいけど極度の低血圧人間で、遅刻魔。今日も遅刻だし。 「おはよう。全く、今日はいつまで寝てたのよ」 「11時くらいかなー」 「千歩、せめてこいつを8時に起きれるようにしろ」 「ちゃんと起きないといけない日は柚子のお菓子で起こすけど、普段は無理。無理矢理起こすと私でも怖い。悠馬も知ってるでしょ?あの伝説」 「うっ…」 「あーあれねぇ…私クッキー持って行ってて本当よかった…」 千乃は入学したての頃、この学校で物凄い伝説を作ったの。 入学した次の日に、1番目を付けられたくない先生指導の田端(タバタ)先生の話を体育館で聞かなきゃいけなかったんだけど、先生の話の最中に千乃が爆睡しちゃったのよ。田端先生はそれに激怒して千乃の元に来て叩き起こそうとしたの。まぁそれが普通よね。 ただ、相手は極度の低血圧人間の千乃。 千乃を叩き起こした田端先生を鬼のような目で睨みつけて本当低い声で『あ?』って言った瞬間、田端先生は青ざめた顔をして固まったわ。あそこまで怖い生徒を見たことなかったんでしょうね。この学校レベルがそこそこ上で、真面目な生徒が多いから。 田端先生に目を付けられたら絶対逃れられないんだけど、千乃はそれを打ち破った。だから伝説になったの。 それほどまでに千乃の寝起きは、怖い。
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