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あくまで黒幕は淡々と、むしろ笑みを浮かべながら言った
しかし対象的に、俺はただただ絶句するしかできなかった
なんて言った?殺された
日常では聞く事はまずない単語に頭の理解が追いつかない
「いえ、『殺された』は違いますかね…兄はイジメの末に耐えられずに自殺しました」
黒幕はやはり淡々と語る
「その時の僕はまだ小さかっので、兄を助ける事も、その死を受け入れる事もできなかった」
しかし、良く聞くと、その声に隠された感情が見えてきた
「初めは、どうして兄なのかと、どうして死んでしまったのかと、泣き続けていました」
それは、身内が死んで、起こるような、『悲しい』なんつ綺麗な感情じゃない
「でもある時気付いた。別に兄は悪かったわけじゃない。悪いのは別にいたんだと」
それは、明らかな、悪意を溜め込んだ―
「だから僕はそいつらを許さない」
――完璧な『憎悪』だった
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