2363人が本棚に入れています
本棚に追加
/326ページ
依頼人が帰った所で俺はどっと疲れ、座っていたイスの背もたれにもたれかかった。
「所長、」
「何?」
所長は沢山の書類に目を通している。
「嘘つき…」
「うっ!」
殆ど呟いた程度だったにも関わらず、所長の慌てぶりは凄まじかった。
「な~にが、簡単な依頼しかこないですか!」
そういうと、なんとさっきまで狼狽えた表情が消えいつもの涼しい顔に戻った。
「ま、そういう年もあるわね、うん、」
「開き直らないで下さい」
俺の言葉も冷ややかだ
「つーか、あれ、高校生がやるもんですか?どっちかってつーとあれ、警察に言っ……」
最後まで言う前にダーツが飛んで来た。
俺はそれを予想していたので、難なくキャッチする。
「わぁ~凄いですね、」
アリスさんが褒めてくれたが、正直、それどころじゃあない。
「ま!」
いきなり机をバン!と叩く所長、それを冷たく見る、俺。
ついでに微笑ましくみるアリスさん
三者それぞれの心境のなか所長は高らかに演説する。
「中途半端に簡単な依頼より、いきなり凄いのがきたんだから喜びなさい!」
更に二回机を叩く!
「あんたもそんな顔をしない!幸せが逃げるわよ!」
とは言っても………なぁ~
「やる気が出ません」
これは本音だ、
もとから有ったわけではないが、更に下がった。
「じゃあ、諦める?」
「嫌です」
即答
「それは絶対に………無い」
所長の台詞が冗談だとわかっているので怒鳴るような事はないが、無意識に声が低くなる
最初のコメントを投稿しよう!