70人が本棚に入れています
本棚に追加
大和said
「もうこんなことやめねぇか?俺、別にお前が頭でもいいし」
「は?今更なに言ってんだよ」
決着をつけようと言ってきたのは廉なのに、やっと勝負ができるという時に奴はそんなことを言い出してきた。
頭にくる。ちょっと前まで俺を睨んで喧嘩を売ってきてたのに。
あの時ちょっと助けてやっただけで、腑抜けたこと言いやがって。
お前に勝たないと、俺は俺でいられないのに。
お前が俺と張り合わないなんて、俺を見なくなるなんて嫌だ!
「立て!かかってこいよ!」
「‥この野郎ォ!」
だから、少し卑怯だけどいきなり廉に飛び蹴りを食らわせて挑発をした。
廉は案の定乗ってきて俺に殴りかかってくる。
思惑通りに事が運ぶ―――
そう思って身構えたら、廉は俺の肩を掴み手を振り上げた状態で止まった。
「ちょっと、もう一回タンマ」
「は?…なに止まってんだよ」
「もし俺が勝ったら…お前が俺の言うことを、何でも聞くっつーことにしたいんだけど」
どう?と、問いかけてくる廉の目には、いつものギラギラした肉食獸のような残忍さが戻っていた。
普通は怖いと思うんだろう。でも俺は、廉にこの目で見られるとゾクゾクした。たまらなく、気持ちが高揚るんだ。
「…いいぜ。その代わりお前が負けたら、もうデカイ顔すんなよ」
.
最初のコメントを投稿しよう!