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廉との勝負に、負けてしまった。
「なんでも言うこと聞くって言ったよな?」
「‥なにすればいいわけ?」
二人ともボロボロだった。
俺は尻を地面につけてに座り込みながら、近づいてきた廉に嘲笑するような笑みで見上げた。
なにを言ってくるつもりか知らないが、こうなったらもうヤケだ。
きっとまたボコボコにされるんだろう。好きにすればいいと、身体の力を抜いた。
「言ってみろよ。何すれば……っ!?」
言い終わらないうちに、俺は廉に強くコンクリートの床に押し倒された。
「いって‥っ」
頭を打ちつけられた衝撃で、身体が動かせない。
伸びてきた手に殴られると咄嗟に目を瞑ると、それは優しく俺の頬に触れただけだった。
「なんだよ、殴んならさっさとやれよ」
「もうそんなことしねーよ」
睨み付けると、廉は口元に笑みを浮かべて顔を近づけてきた。
「痛くしないでやるから、おとなしくしてろよ」
唇に柔らかいものが押し付けられる。
目の前は廉の顔のドアップで‥‥。
信じられないけど、俺は廉にキスされていた。
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