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春先の冷たい風の中、俺達はいつものように二人で一緒に帰っていた。
その日は遅くまで仕事があって疲れたのか、はっしーには元気がなく口数も少ない。
だからなんとなく俺も口を閉じて、二人して無言のまま、すっかり暗くなった夜道を並んで歩いていた。
「あの、さ。今から、高木くんに話があるんだけど」
無言の帰り道は、はっしーのその一言で終わりを告げた。
「なに、どうしたの急に?」
唐突な言葉に俺は少し面食って、そう返す。
「真剣な話だから」
「え、うん」
(なんだ、真剣な話って…)
何かマズイことでもしたのかと、ただならぬ雰囲気にドキドキする。
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