1 ダサいのは私だ

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  「信じらんない!」 泉はそう言ってケーキにフォークを突き立てた。私はその様子にただヘラヘラ笑うしかない。 「あの鈍感イカレ男は何考えてんのよ。」 「泉、クリームついてる。」 泉の隣りに居た沢田恭助(さわだきょうすけ)がそのクリームを手で拭う。 沢田恭助。通称"恭くん"は泉の彼氏だ。 黒髪に眼鏡、外見は真面目。性格は大門とそう変わらない気がする。強いて言えば恭くんの方が少し控え目なくらいだ。 本人曰く「目指してるとこが違うから」だそうで。 全く意味が解らない。 けど泉には頭が上がらない。 そんな恭くんを完全に無視して泉は話続ける。 「桜日、あの男の何処がいいわけ?」 「何処って……優しいとことか…。」 私は泉の向かいの席から控え目に反論した。  
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