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少年は鉄棒にぶら下がりながら、少女は鉄棒に寄りかかりながら、卒業したばかりの大海小学校を見つめていた。
ふと少年が口を開いた。
「風香ちゃん、本当に引っ越しちゃうんだよね…」
少年は寂しそうに言う。
少女の顔が暗くなる。少年はその顔を見ていられなかった。
それからしばらく沈黙が続いた。だがやはり沈黙を破ったのは少年だった。
「風香ちゃん、将来なりたいものってなに?」
「あたしは、小学校の先生になりたいな」
「小学校、かぁ。風香ちゃんならきっとなれるよ」
「友大くんは?」
「僕は、プロ野球に行きたい。野球続けて、有名になりたい」
あ、と何かをひらめいたように声を上げた少年は少女にこう言った。
「じゃあさ、約束しよう。僕たちの、夢を叶えるっていう約束」
「うん。約束っ」
少女はえへへ、と笑う。
それにつられて少年も笑う。
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