夏、海、すいか割り

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 僕はもうすぐ死んでしまうということを確信しました。 なぜなら、僕が今見ている景色は真っ青な海だからです。僕達がここに連れてこられるときは、木の棒で割られ、人間に殺される運命なのだということを、先輩に教えてもらったことがあるからです。 波を掛け合ってはしゃぐ姉妹、それを楽しそうに見つめるお母さんとお父さん。 そんな、幸せそうな光景を見ているとちょっぴり泣きたくなってきました。  海での遊びに飽きたのか「すいか割りしたいよー」とお父さんにねだる、妹。 人生の終わりが近づくと、走馬灯を人間は見るということを、車から流れるラジオで知りました。 小さい種から苗になり、農家のおじさんに畑に植えられ、太陽の日差しと水を浴びてすくすくと育ったことを。 大きな実をつけ、農家のおじさん達に収穫されて箱につめられたときの暗さを。 出荷されて市場に行き、スーパーに買われて野菜なのに果物売り場に並び、誰に買われるかわくわくしたこと。 この家族に買われたときの、幸せだった気持ちを。 僕は人間ではないけれど、走馬灯を見ました。ああ、死ぬんだあと改めて思いました。
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