夏、海、すいか割り

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 お姉さんに持ち上げられて、大きな水たまりのようなところから出ました。人間ではないから出ないけど、くしゃみをしてしまいそうです。 そのまま、砂の中にお尻だけ入れられました。熱くて火傷してしまいそうです。 「最初はあたしー」 「わかった。その次があたしね」  どうやらすいか割りをする順番が決まったようです。一番が妹、二番がお姉さんのようです。 一番の妹はお母さんに目をタオルで隠してもらって、楽しそうにくるくると回った後、ゆっくりと木の棒を持ちます。 へえ、すいか割りってこんな風にするんだなあとのんきに僕は思いました。  右、左というお姉さんとお母さんとお父さんの僕がいる場所まで案内する声にあわせて、右にふらふら、左にふらふらしながら、どんどん近づいてきます。 「そこ」というお姉さんの声とお母さんの声とお父さんの声が混ざった、とても大きな声にあわせて、妹は僕に向かって木の棒を振り下ろします。怖いです。  さらっという砂を叩く小さな音がしました。木の棒は僕の隣に振り下ろされました。一安心です。
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