日常から非日常

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この物語は、それより少し前にさかのぼる。 「ふぁ~……」 大きな欠伸をしながら、学ランを身に纏った少年は、学校に向かうべく歩いていた。 少年の名は 紅月 紅哉(アカツキ コウヤ) 「あぁ~だりぃな……」 長い赤髪が特徴の紅哉は、めんどくさそうにぽつりと呟くと、再び大きな欠伸をした。 「あのね……さっきからそれしか言ってないじゃん」 紅哉の隣を歩く少女の名は 天野 光(アマノ ヒカリ) 紅哉の幼なじみで、だらしない紅哉の面倒見も兼ねて、よく彼の傍にいる。 短い金髪は、太陽の光でより金色に輝いている。 「まったく……コウは私が居なくなったら、どうなるんだか」 「知るか。ってゆーか、お前の方こそ俺にベッタリなクセに」 「なっ!?そんなことあるわけないでしょ!?大体、アンタはいつもそうやって――」 「はいはい。またいつものお説教か?勘弁してくれよ」 紅哉はそんなことを口にしているが、光に対して少なからず好意を抱いている。 小学校から今まで(因みに今は高校2年生)のくされ縁ということもあるのだが、紅哉は淡い恋心を抱いていた。 「ただでさえ家が隣で吠えられてるのに、学校に行く時も吠えられちゃたまらないっつの。 あ、お前の場合は学校に行ってもだな」 「フフフ……コウ?そんなに早く死にたいのかしら?」 「メッソウモゴザイマセン」 そんな他愛ない話しをしながら、二人は学校に向かった。
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