9人が本棚に入れています
本棚に追加
この物語は、それより少し前にさかのぼる。
「ふぁ~……」
大きな欠伸をしながら、学ランを身に纏った少年は、学校に向かうべく歩いていた。
少年の名は
紅月 紅哉(アカツキ コウヤ)
「あぁ~だりぃな……」
長い赤髪が特徴の紅哉は、めんどくさそうにぽつりと呟くと、再び大きな欠伸をした。
「あのね……さっきからそれしか言ってないじゃん」
紅哉の隣を歩く少女の名は
天野 光(アマノ ヒカリ)
紅哉の幼なじみで、だらしない紅哉の面倒見も兼ねて、よく彼の傍にいる。
短い金髪は、太陽の光でより金色に輝いている。
「まったく……コウは私が居なくなったら、どうなるんだか」
「知るか。ってゆーか、お前の方こそ俺にベッタリなクセに」
「なっ!?そんなことあるわけないでしょ!?大体、アンタはいつもそうやって――」
「はいはい。またいつものお説教か?勘弁してくれよ」
紅哉はそんなことを口にしているが、光に対して少なからず好意を抱いている。
小学校から今まで(因みに今は高校2年生)のくされ縁ということもあるのだが、紅哉は淡い恋心を抱いていた。
「ただでさえ家が隣で吠えられてるのに、学校に行く時も吠えられちゃたまらないっつの。
あ、お前の場合は学校に行ってもだな」
「フフフ……コウ?そんなに早く死にたいのかしら?」
「メッソウモゴザイマセン」
そんな他愛ない話しをしながら、二人は学校に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!