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「ななみ。幸せって、人それぞれ違うんだよ。まわりの人間が、どれだけ自分を指差して不幸だと言っても、自分が幸せだと思えるならそれで良いんだ」
「…遊はまわりから不幸だと言われた事があるの?」
「・・・・」
いつもここで黙り込む。
そんな事はななみ自身が確かめる事さ。
「幸せは、誰かの価値観や判断で決めるもんじゃない。決めるのは、自分自身なんだ」
毎日、幸せについて話をした。
くだらない話や、物語の話。
楽しい話題だって出来るけれど、幸せについて毎日話した。
彼女は真剣に真剣に聞いてくれる。
でもそれは僕がななみに仕掛けた罠。
幸せについて話せば話すほど、ななみがいつか幸せだと感じる度に僕を思い出せるように。
ただ、それだけの罠。
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