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「おはよう、ななみ」
「おはよう、遊」
心臓が痛くて、でもそれでも会いに行った。
「今日は絵本を読んであげる」
「本当!?私、遊の読んでくれる話大好きなの!」
彼女の笑顔のためならば、たくさん話をしたい。
「ある小さな公園に、小さな雪だるまがいました…」
心臓が狂っていく。
それでも。
「小さな雪だるまは小さな女の子に恋をしていました」
今、僕がやっていることに意味がなくても。
それでも。
数分後、ななみからはすすり泣く声が聞こえた。
ななみの役立たずの目から透明な涙が出る。
鼻を真っ赤にして、鼻水をすすってる。
かわいくて、いとおしくて。
心臓がまたぎゅっとなった。
「聞いてくれてありがとう」
「読んでくれてありがとう」
僕はにっこり笑って、また一つ、幸せについて話した。
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