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とある病院で時間を潰している車椅子に座った、白い少年。
僕はいくつも本を読み、世界から逃げていた。
語り部に憧れていた。
比較的新しいデザインの車椅子。それをこぐ手は真っ白。
けれど本人の心も未来も真っ黒。
物語の主人公に憧れた。
ここではない、どこか。
病気ではない、誰か。
自信と希望がある、未来。
だんだんと力をなくしていく身体は城壁みたいに心への侵入を防ぐ。
最近では心臓も力をなくしていってるんだって。
反対に城壁は強さと高さを増していく。
城壁に少しだけ空いた穴から外側を観察する。
攻撃してくる者がいれば、さらに城壁を固くして知らんふりをすれば良い。
ただ、彼女…
ななみだけは、僕の城壁を軽く飛び越えた。
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