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「どうして!!どうしてよぉー!!」
隣の病室。気が動転しているせいで大部屋ではなく個室に入れられたみっともない少女の声が聞こえた。
うるさいなぁ…
そんな気持ちで隣の部屋をのぞいたのがきっかけだった。
「どうして見えないの!?どうして!?どうして!?誰のせいよぉ!?」
12歳ぐらいの少女。
黒い綺麗な髪が真っ直ぐ肩にかかっていた。
小さな桃色の唇に、透き通るような真っ白の肌。
かわいらしい女の子、だった。
ただ、目は真っ白の包帯で包まれて、その包帯からにじむように涙があふれて、綺麗な髪を振り乱して、桃色の唇でわめき立てていた。
これは珍しい。
自分を『不幸』と嘆く。
自分の感情を、まわりにお構いなく爆発させて。
そんな人間、初めてだった。
うらやましかった。
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