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あのシルクハットの変人は、何もかもが僕の付いた嘘そのものだった。
こんなこともあるんだなと、少し、感慨深くなった。
「案外、本当に妖精だったのかもしれないね」
「え?」
彼女は顔をあげて僕を見る。
その眼は、いつもより元気がなく、少し赤かったが、僕を安心させてくれる、そんな眼だった。
「どういうこと?」
「だから、道に迷って困っている僕たちの前に、既に迷い道の妖精になってたおじさんが僕たちのためにもう一度人間に戻って、僕たちを助けてくれたのかもね?」
「もし、それが本当なら、とってもすてきだね!」
明るくにっこり笑う彼女。
こんな顔を見られるなら、たまには柄にもないことを言ってみるのもいいか。
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