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――それからしばらく。
夜も遅いということで、彼女を僕の家から彼女の家まで送り届けた後、僕は家に戻ってリビングに向かった。
リビングについて、部屋の電気をつけた時、テーブルの上に見慣れないものを見た。
それは、アイスのあたり棒と小さな小さな人形サイズのシルクハット。
何気なくそれを手にとって、しばし眺めた後、辺りを見回した。
リビングの窓から、キラキラと光る何かが飛び去っていくのを見た気がした。
「アイスのあたり棒……お礼のつもりか? シルクハット」
携帯を取り出す。
送ったばかりだから、まだ寝てはいないだろう。
何コールかののち、相手に携帯はつながった。
『もしもし? ひろふみくん、どうしたの?』
「ああ、とりあえず、今から家に行くよ。……渡したいものがあるんだ」
『え、いいけど……今から?』
「うん、いまから」
『わかった、私も実はひろふみくんに渡したいものがあるの!』
先ほどつけたばかりのリビングの電気を消して、僕は走った。
右手にアイスのあたり棒、左手にシルクハットを持って。
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