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さて、どこからきたんだっけ?
いくら話に夢中だったとはいえ、まさかそんな奥までは来てないはずだ。僕は耳を澄ました。
がさ、がさ、がさ
そんな、音が聞こえてきた。
「いこう、あっちの方から音がする。もしかしたら、その人が道を知っているかもしれない」
「え、蛇とか、熊かもしれないよ。あぶないって」
「大丈夫、蛇だったら逃げればいいし、熊だったら逃げればいいから」
僕は彼女の手を握り、彼女の前を歩いた。
がさ、がさ、という音はだんだんと大きくなってくる。もう近いはずだ。
「やっぱやめようよ。あぶないよ。」
「大丈夫、僕を信じて」
「じゃあ、台詞を棒読みしないでよ!」
音が大きい。かなり……近い。
恐らく、あの林の向こうに音の正体はいるだろう。
「よし、……行くよ?」
「……うん!」
緊張の一瞬――僕たちは、思いっきり、林に飛び込んだ。
そこには――――
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