プロローグ

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プロローグ

 鍵のロックを外し、窓枠を掴み押す。  開かれた空間。  外気が流れて込み、触れると湿気寒さを纏わせる五月下旬の午後。  無機質なブラウン管からは、日常生活に欠かせないニュースより天気予報図に映し替えられる。  画面端で女性キャスターが、片手に掴む用紙を淡々と読み上げてゆく。 『本格的な梅雨入りが見込まれます』と全国生中継で報せられる。  先程は通り雨だったのか、三十分前は激しく窓側を打ち続けていた。  ―――今日は止むことはなさそうだ………。  外を眺めていたが、陽が照り始める具合に雨雲は徐々に、上空から移動する。  まるで、何事もなかった様な気候の変化を室内から見上げるのだった。
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