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 朝は辛い。と嘆く主は、掛布団を身に纏わせているだけ。  蓑虫と姿化した物質の上から月耶は声をかけた。 「義兄さん」 「うぅ――――まだ、寝かせろよ」 「………いい加減に起きて」  只今、時刻は正午を通り過ごして午後二時。  一時間前、昼食の用意を済ませても一向に、現れない海知が立て籠る寝室へ、ノックをしてから立ち入った。  案の定、ベッドの上の眠り姫と なっている。  いや、眠り姫とは言い難い。  体格にしても、月耶は身長は一七〇センチ、体重は五十三キロ。  小柄ではないが、一回り程大きな海知と比例差はある。  その割には寝相は良い方だ。  しかし、自力で起床しない、というより出来ない人物は、誰かが目覚めさせなければならない。  無論、月耶に下った日課となった。  今も至ってベッドから起きる気配はない海知は、布団から少し顔を覗かせただけだ。  眼瞼は下ろしたまま。 「なら、『海知お兄ちゃん。 お目覚めのチュウ』をしてくれるなら」 「……………」  海知の発せられた疑わしいネーミングセンスは、月耶を言い留めた。  毎回、要求される言葉は、長期に渡ってゆくと呪文に似た効力を持つ。
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